見出し画像

地方の薬局目線で2024年調剤報酬改定の短冊(個別改定項目その3)を読んでみた

みなさん、こんにちは。
けやき薬局の馬場(き)です。

また、資料がでましたので、前回読んだ(その1)では触れていなかった点を主に、また地方中小薬局の目線で読んでみたいと思います。今回の改定について主要な議論は終わったみたいですね。

「読みたいことが書いていないじゃん!」と思った人は、さらっと全体をさらっている前回分を読んでね↓↓↓

今回は、私が読んで気になった所を、①全般、②在宅、③敷地内薬局関連ペナルティ、でまとめてみました。


① 全般

①-1. 地域支援体制加算の経過措置(P713~714)

集計期間や経過措置などの日付が入りました。

4月→6月になる以外は例年通りですね。

6月1日から算定するには、2023/5/1~2024/4/30の実績を基に申請です。

経過措置

経過措置は3カ月!(普段より短い)

現在地域支援体制加算を算定していて引き続き算定できる、経過措置は2024/8/31まで。経過措置で算定していて2024年9月以降も算定する場合は、8月中に2023/8/1~2024/7/31の実績を基に再度申請が必要になるそうです。

調剤基本料1を算定している薬局が経過措置に該当する項目は以下です。

(1)のアの(イ)の①から⑩
 → 地域医療への貢献に係る十分な実績の①~⑩
(2)のイ
 → 在庫状況の共有、医薬品の融通などを行っていること
(2)のオ
 → 処方箋集中率が85%を超える場合に後発医薬品の使用率が70%以上
(3)のエ
 → 開局時間外であっても調剤及び在宅業務に対応できる体制の周知
(11)のア
 → 要指導医薬品及び一般用医薬品を48薬効群の品目を取り扱うこと
(11)のウ
 → 緊急避妊薬の調剤を行う体制
(11)のオ
 → たばこ及び喫煙器具を販売していないこと

それぞれの該当箇所にpdfのリンクを貼っておきました(PC推奨)

地域支援体制加算3の経過措置の項目は、より少なく以下。

(2)のイ(3)のエ及び(11)のア

地域医療への貢献に係る十分な実績の①~⑩は経過措置にならないよ。

地域戦体制加算4の経過措置の項目は、地域支援体制加算3の経過措置の項目に加えて以下。

(4)のウ
 → 直近1年間の在宅・居宅の実績が24回以上
(6)
 → かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出

むしろなぜこの項目なの??

①-2. 調剤管理料(P684)

すごく個別指導で突っ込みやすそうな項目ができました。笑

(8)で薬歴の記載になるから、管理上の記録は突っ込まれるよね。

①-3. 特定薬剤管理指導加算3(P681~683)

新設の加算で、前回も取り上げました。一応以下を説明した時に取れる加算だよーというのはおさらいです。

イ:安全管理等に関する資料を当該患者に対して最初に用いた場合

  • RMP

  • 緊急安全性情報、安全性速報

ロ:選定療養、調剤前に医薬品の選択に係る情報

  • 選定療養の対象とな る先発医薬品の差額自己負担分の説明

  • 流通により前回調剤された銘柄から別の銘柄の医薬品に変更した場合

流通が悪くて代替調剤をしたような場合の薬歴とレセプトに記載をしましょうという内容が書いてありましたので、6月以降注意しましょう。

レセプトの摘要欄に記載も必要です。

①-4. かかりつけ薬剤師指導料の吸入指導加算(P419)

吸入指導で加算が算定できるようになるそうです。

①-5. 書面掲示事項のウェブサイトへの掲載(P161~166)

薬局での書面掲示以外にも同様のことをwebページにも記載しなければならないそうです。(めんどい)

薬局の掲示物ってたくさんあるんですよ。。

ちなみに関さんが過去に作成してくれた、掲示物一覧がこちら・・・

どうしましょうね・・・

経過措置がいつまでになるかはまだ不明です。

1年くらいはみてほしいな(願望)

①-6. 新興感染症における在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料(P408~409)

コロナやインフルエンザで患者さん宅にお届けしたら在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定して良いそうです。

お届け費用がペイしますね。


② 在宅周り

②-1. 在宅薬学総合体制加算(P513~516)

在宅や居宅の処方箋を調剤した際に取れる加算についての変更です。在宅患者調剤加算が廃止されて、在宅薬学総合体制加算が新設されました。

前回はめっちゃハードル上がった!と思いました。

在宅薬学総合体制加算1の要件
こちらは、在宅患者調剤加算と同じと考えて良いようです。

要件的な違いは3か所かな?

在宅薬学総合体制加算2の要件

  1. 在宅薬学総合体制加算1の要件

  2. 医療用麻薬●●品目以上の備蓄(注射剤●●品目以上を含む)

  3. 無菌調剤の体制(無菌室 or クリーンベンチ or 安全キャビネット)

  4. 在宅・居宅の実績 (●●回以上/年)

  5. 薬剤師が2名以上在籍し、開局時間内の不在時間帯なし

  6. かかりつけ薬剤師の実績 (●●回以上/年)

  7. 高度管理医療機器の許可

※個別改定項目(その1)で書いてあった内容は、在宅薬学総合体制加算2の内容だったんですね。

②-2. 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料(P516~519)

注射による麻薬の投与が必要な患者に対しても、定期訪問の上限回数が週2回かつ月8回までに増えました(がん末期とIVHの人と同じ、介護保険でも同様の改定

あと、時間外加算などの訪問版が新設されましたね。

何点になるんだろう?

6月以降はこういった加算もきちんと算定できるようにしましょう。

②-3. 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料(P521~522)

往診同行や事前の相談に対しての処方提案についても、フィーがつくようです。今まではサービスだったものに点数がついたのは凄いですね。

まぁ、当グループでは往診同行をやっていないですけどね・・・

訪問診療の前に訪問して、処方提案する形であれば当グループでも算定できるかもしれないなぁと思いました。

②-4. 特別養護老人ホーム等への外来服薬支援(P528~529)

この内容だと施設連携加算は取りたい放題のような気もするけど・・・

当グループでは、特養は現状担当がないんですよね。。

実質的に特養の保険点数UPになると施設の奪い合いになるのかな?(薬局の工場化→調剤外注化とかにも繋がるのかなぁ。。)

②-5. 医歯薬連携の推進(P647~648)

薬局が算定するものではなく、診療報酬側で算定する項目ですけど面白いなぁと思ったので取り上げました。

歯科と連携ってあんまりしたことないですね。

診療情報等連携共有料1

(略)診療情報又は(略)服用薬の情報等(略)について、当該別の保険医療機関又は保険薬局に文書等により提供を求めた場合に(略)算定する。

求められて薬局から情報提供をすると、歯科側で報酬が算定できる。

診療情報等連携共有料2

別の医療機関(歯科診療を行うものを除 く。)からの求めに応じ、患者の同意を得て、診療情報を文書により提供した場合に(略)算定する。

こっちは医科と歯科の連携のみですね。

近隣の歯科医師へ「情報提供できます!」と営業をしてみても、新しい取り組みとして良いかも知れませんね。


敷地内薬局を誘致する医療機関へのペナルティ

今までは、敷地内薬局の基本料が下がったりするペナルティ?はありましたが、誘致する医療機関側にも減算だったり、加算が取れなかったりするような仕組みが導入されるようです。

③-1. 総合入院体制加算(P281~282)

医科の詳しいことをは分からないですけど、現行でも1日につき240点とか180点を14日を限度に取れる加算のようなので、入院1人あたり2~3万円の減収になるんですかね?

令和6年3月末までに契約すればOKらしい。

これからは敷地内薬局はあんまり誘致させたくないという、厚生労働省の意思表明でしょうか?

③-2. 処方箋料の減算(P722~P723)

月4000回以上処方箋を発行している医療機関に対して、集中率が90%以上の薬局と不動産賃貸関係等の特別な関係がある場合は、処方箋料が減算されるようです。

特別調剤基本料とリンクするような減算は初めてですね。

③-3. グループへのペナルティも?

今回は、敷地内薬局を有するグループの評価については今回は見送りで引き続き中医協で審議するようです。

収益構造って言っても、薄利多売の極みのような業態でしょ?

答申書の附帯意見案に敷地内薬局についての記載がありましたのでご参考まで。

どうなるのかなー

敷地内薬局が100%悪いとも私は思いませんけど、お国の方針的にはあまり望ましくはないと考えているのは変わらないみたいですね。


あとがき

中医協から厚生労働省への診療報酬改定についての答申(点数の確定)は、2/14に出るらしいので楽しみにしていましょう!


あと、資料の答申書の附帯意見案に、以下のように記載がありました。

複雑化している自覚はあったんですね。

お国の考えることは分かりませんが、一応シンプルにしたいようなので今後に期待したいですね。笑

調剤報酬改定の話題が好きな人は、同じ資料にある「パブコメの意見のまとめ」とかも読んでみると面白いですよ。

この記事が参加している募集